呉軍港とテロ特措法

テロ特措法

正式名称は
「平成十三年九月十一日のアメリカ合衆国において発生した
テロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の
目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び
関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」
(2001年10月29日成立)

《テロ特措法関連年表》

2001年
 9月11日  対米同時テロ
   12日  安保理がテロを非難する決議1368を採択
   16日  米国が自衛隊の後方支援活動を要請
   25日  日米首脳会談で小泉首相が対米支持を表明
 10月5日  テロ特措法案を提出
   7日  米軍がアフガニスタン空爆を開始
   29日  テロ特措法成立
 11月9日  海上自衛隊の艦船3隻がインド洋に向け出航
 12月7日   アフガニスタンのタリバンが最後の拠点カンダハルを撤退し、
       政権が崩壊
   22日  暫定行政機構が発足し、カルザイ議長が就任
2003年
 11月1日  テロ特措法延長
2004年
 10月9日  アフガニスタン初の大統領選でカルザイ氏が当選
2005年
 11月1日  テロ特措法廷長
2006年
 5月    タリバンが攻勢に出始め、アフガニスタン南部や東部で米軍などを攻撃
 11月1日  テロ特措法延長

2007年
 11月1日  テロ特措法期限切れで終了。海上自衛隊は撤収。

《テロ特措法に基づく自衛隊の活動》

●海上自衛隊
 インド洋への派兵規模 のべ61隻、隊員のべ約11,000人
        回数   給油量    金額
 艦船用燃料  769   約48万kl  約219億円
 ヘリ燃料    64   約 940kl  約5470万円
 水      113   約6170t     約631万円
●航空自衛隊
 空輸支援 国内356回(横田、嘉手納、岩国)
      国外15回(グアムなど)
(2007年7月現在)

  インド洋での補給実績1     インド洋での補給実績2

 
 防衛省資料によると、最近は米軍への給油が大幅に減少し、
昨年11月以降ではパキスタンが4割近くを占めています。
 しかし、パキスタンが派兵しているのは小型のフリゲート艦一隻のみで、
本当に海自が給油しなければ活動が困難になるのか疑問です。
 自衛隊はインド洋派兵を「海外派兵隊」化のテコとして利用し続けています。
 「協力支援活動等実施報告」という資料には、
「百八十日の派遣期間中、各艦が全能発揮を維持した。
これは、当部隊が海外長期展開能力を習得したことによるもの」と記し、
海外派兵・遠征能力の習得の場として位置付けていることが分かります。

 《アフガニスタン「不朽の自由作戦」の死者数》

    アフガニスタンでの兵士の死者数
  以上は「2007.9.4.しんぶん赤旗」より抜粋

  インド洋での給油問題調査報告 朝日新聞(2007.11.13.)
    給油転用疑惑をめぐる防衛省の調査報告と問題点。


《出撃基地化進む海自呉基地》

  1.補給艦「とわだ」初の「戦時下」派遣

 これまで、呉基地からは次のように、海外派兵が繰り返されました。
(1) 91年4月26日、掃海母艦「はやせ」と掃海艇「ゆりしま」、横須賀からの補給艦「ときわ」と掃海艇2隻、佐世保からの掃海艇1隻の計6隻、510人の掃海艇部隊は、湾岸戦争後の機雷掃海のため、ペルシ湾に派遣されました。
(2) 92年9月17日、PKOの第一陣として、呉基地の補給艦「とわだ」横須賀からの輸送艦「みうら」「おじか」の計3隻は、要員389人、車両23台とその要員である陸上自衛隊34人を乗せ、カンボジアに向け呉基地を出港。
(3) 99年9月23日、トルコ大地震被災者支援を名目に、仮設住宅500戸を積んだ、輸送艦「おおすみ」、掃海母艦「ぶんご」、横須賀から補給艦「ときわ」の乗員430人は、神戸港から出港しました。
ところが、今回の「とわだ」は以上の海外派兵と異なり、初の「戦時下」の海外派兵 です。
「テロ対策特別措置法」に基づき、インド洋に派遣された「とわだ」は昨年11月25日、呉を出港。12月2日から米英艦船に31回洋上で燃料補給をし、4月25日呉基地に帰港しました。
なお、「テロ対策特別措置法」にもとづく米軍支援期限が延長され、インド洋上で海上自衛隊艦隊がおこなっている米英軍への給油支援は、
161億円もの予算が投入され、米軍艦船などに543回・約41万klの燃料を提供してきました(2005.8月末現在)。

2.輪送艦「おおすみ」はPKO支援で東チモールヘ

 3月15日、車両72両と陸上自衛隊員47人を乗せた「海自東チモール派遣海上輸送部隊」 (輸送艦「おおすみ」、護衛艦「みねゆき」で編成)は室蘭港から出港。26日東チモールに到着。
翌27日から「おおすみ」は東チモールのスアイ、ディリ、オクシの3カ所でLCACによる施設器材・車両などの揚陸作業を行いました。
なお、「おおすみ」型2番艦「しもきた」呉配備に伴い、両艦を第1輸送隊に編成しました。

3.護衛艦「いなづま」インド洋へ

テロ対策特別措置法に基づきインド洋で米英艦船を支援している海上自衛隊艦船と交替する呉基地の「いなづま」(4550トン、乗員213人)と佐世保基地の「あさかぜ」(3850トン、230人)の護衛艦2隻が7月1日それぞれ出港しました。
呉基地からの派遣は、昨年の「とわだ」についで2回目ですが、護衛艦は初めてです。
2隻は九州南方海域で合流し、中旬にインド洋に到着する予定で、補給艦「はまな」の護衛任務につきます。

  テロ対策特別措置法で派遣された自衛艦一覧表

 テロ対策特別措置法で,インド洋に派遺された呉基地所属艦艇は、
            (写真は、海上自衛隊新聞社「艦艇と航空機集」から)

「とわだ」(補給艦)
第1回(01年11月25日から152日間)
第2回(02年7月24日から164日間)
第3回(03年7月15日から128日間)
第4回(04年3月14日から190日間)
第5回(05年3月31日から現在も続行中) 「とわだ422」
 2005.8月末現在で、米軍艦船などに543回・約41万klの燃料を補給。161億円相当。

(護衛艦)はそれを護衛するなど、イラク戦争支援のため、呉基地は出撃基地化されでいます。
8カ国が陣形を組み記念写真
   中央「とわだ」、先頭左2「さみだれ」、右3「みょうこう」

「いなづま」(護衛艦)(02年7月1日から121日間)

「ひえい」(護衛艦)
第1回(02年9月17日から132日間)
第2回(03年10月28日から128日間)
「ひえい142」

「さみだれ」(護衛艦)
第1回(02年9月17日から109日間)
第2回(04年2月15日から続行中)

「しもきた」(輸送艦「おおすみ」型2番艦)
(03年2月4日から53日間) タイ寄港、タイ陸軍工兵部隊と20両の車両を搭載。初の外国軍輸送。

「あさぎり」(護衛艦)
(03年7月15日から127日間)
「あさぎり151」

「あけぼの」(護衛艦)
(03年10月28日から148日間)

「おおすみ」(輸送艦)
第1回(99年、トルコ地震救援)
第2回(02年、東チモールPKO)
第3回(04年2月14日から4月8日、イラク復興支援でクエートへ、陸自車両を)

「おおすみ4001」

「くにさき」(輸送艦「おおすみ」型3番艦)
(05年1月7日から3月9日、スマトラ大地震の救援でインドネシアのバンダアチエ沖へ、陸自のヘリ輸送。)


   インド洋派兵
   テロ特措法による海上自衛隊の補給実績3
   海自 補給は244億円分
  (しんぶん 赤旗 2009.9.9. 紹介)

   インド洋での補給実績2

   インド洋での海上自衛隊の給油実績1

   インド洋での海上自衛隊の活動の意義





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