イラク従軍拒否の米軍中尉 エーレン・ワタダ氏
   ワタダ中尉と父母

  3,米従軍拒否将校が除隊
   イラク戦争 陸軍が軍法会議を断念

 現役米軍将校として2006年6月に初めてイラク従軍拒否を表明し、
軍法会議に訴追されたエーレン・ワタダ陸軍中尉(31)が2日、除隊しました。
退役軍人の資格が与えられない「不名誉除隊」となったものの、関係者は同氏の「勝利」と受け止めています。
 ワタダ氏はハワイ州出身。
イラク派遣を拒否し、そのことを記者会見や反戦組織の集会で表明したことなどを理由に訴追されました。
 07年2月の軍法会議で「審理無効」となったにもかかわらず、陸軍が再訴追したため、ワタダ氏側が撤回を要求していました。
 連邦地裁は同年10月、同氏の言い分を認めて軍法会議の差し止めを命令。
陸軍の代理として米司法省が不服を申し立てましたが、オバマ政権に代わり、同省が09年5月、申し立てを撤回。
陸軍は軍法会議の再開を断念し、ワタダ氏の除隊を認めました。
 ワタダ氏はハワイ地元紙ホノルル・アドバタイザーに対し、代理人を通じて
「自分の行動や信念について、人びとが十分に記憶してくれた。
これ以上、加えることはない」と表明しました。
       しんぶん赤旗 2009.10.8.(木)


  イラク従軍拒否のワタダ中尉
  米陸軍、訴追の一部撤回


 現役米軍将校として二〇〇六年六月に初めてイラク従軍拒否を表明し、
軍法会議に訴追されたエーレン・ワタダ陸軍中尉について、米陸軍はこのほど、
五つの罪状のうち、任務不履行など主要な三つについて争わないことを決めました。
裁判はまだ続くものの、ワタダ氏の弁護人は「大きな勝利」と歓迎しています。
 ワタダ氏はハワイ州出身。イラク派遣を拒否し、そのことを記者会見や反戦組織の
集会で表明したことなどを理由に訴追されました。
 同氏に対する軍法会議は○七年二月に行われましたが、判事は審理無効を宣言。
ところが陸軍が再訴追したため、ワタダ氏側は憲法で保障された「一事不再理」
(判決が確定した事件には公訴の提起を許さない)の原則に反すると主張しました。
 連邦地裁は同年十月、同氏の言い分を認めて、軍法会議の差し止めを命令。
それに対し、陸軍の代理として米司法省が不服を申し立てていました。
 その後、イラク戦争反対を掲げるオバマ政権に代わったことで、司法省の対応が注目されていましたが、
七日付のハワイ地元紙ホノルル・アドバタイザー(電子版)によると、司法省はこの申し立てを撤回することを裁判所に伝えました。
 陸軍は引き続き、ワタダ氏を軍法会議にかけることを検討していますが、
同氏の弁護人ジェームズ・ロレンズ氏は、ワタダ氏が本人の希望通り
「まもなく兵役を解かれるのではないか」との見通しを示しています。
       2009.5.19.『しんぶん赤旗』報道


反戦将校言い分認める
   連邦地裁 軍法会議一時差し止め


 【ワシントン=山崎伸治】
 現役将校として初めてイラク従軍拒否を表明し、2月の軍法会議で「審理無効」とされながら、
再訴追されたエーレン・ワタダ米陸軍中尉(29)の2回目の軍法会議について、
ワシントン州の連邦地裁は07年11月8日、一時差し止めを命じました。
 これにより軍法会議開催の可能性はますます遠のいたと地元メディアは指摘しています。
ワタダ氏の弁護団は「まだ終わったわけではない」としつつも、今回の命令は「非常に大きな勝利だ」と歓迎しました。
同地裁のベンジャミン・セトル判事は命令の中で、
二度目の軍法会議の開催は「一事不再理」の憲法原則に違反するとのワタダ氏側の言い分を認め、
最初の軍法会議の進め方にも問題があったことを指摘しました。
       2007.11.11.『しんぶん赤旗』報道

2,「ワタダ中尉の予備審理はじまる」

きょうから予備審理
                      【ワシントン=山崎伸治】
現役将校として初めてイラク従軍拒否を表明し訴追されたエーレン・ワタダ米陸軍中尉(28)に対する軍法会議の予備審理が4、5日、ワシントン州の陸軍基地フォートルイスで行われます。
 ワタダ氏はハワイ州出身で、同基地に駐屯する陸軍第2歩兵師団第3旅団の最新鋭部隊「ストライカー旅団戦闘チーム」に所属。
イラク戦争に反対の立場を公にし、昨年6月に陸軍のイラク派遣命令を拒否しました。
 陸軍は7月に同氏を訴追。罪状は部隊の移動への不参加(統一軍事裁判法第87条)と
4件の将校にふさわしくない行為(同第133条)です。
陸軍は当初、記者会見でのワタダ氏の発言を「大統領に対する侮辱行為」として罪状にあげましたが、11月に取り下げました。
軍法会議ですべての罪状について有罪とされれば6年以上、軍事刑務所に収監されることになります。
 予備審理は2月5日に始まる軍法会議を前に行われるもの。
1月2日付の米軍事専門紙アーミー・タイムズ(電子版)によると、
ワタダ氏は予備審理で改めてイラク戦争の不当性を訴えるとしています。
 陸軍は予備審理と軍法会議にワタダ氏とのインタビューを報じたジャーナリストを証人として召喚。
ワタダ氏を支援する反戦組織は、同氏の主張を報じることへの「脅し」だとして反発しています。
予備審理の始まる4日には、フォートルイス前などで支援集会が予定されています。

                    しんぶん赤旗  2007年1月4日付け報道

 米陸軍のエーレン・ワタダ陸軍中尉(28)は、現役将校として初めてイラク戦争を違法と断じてイラク派遣を拒否しました。
2月5日予定の軍法会議では、任務不履行などで禁固刑を受ける可能性があるといいます。
ハワイの自宅で派遣拒否の思いを聞きました。

                  (薄井雅子=米ミネソタ州セントポール在住)
 ウソで固めた戦争に
   裏切られた”愛国心”

 軍検察は、昨年八月の退役軍人平和合総会での私の発言も告発材料にしました。
軍は、「発言すること」自体に罪を着せようとしています。
 この演説で私は、根拠を示してイラク戦は不法なものであり、モラルにも反すると言いました。
軍検察は、私の言おうとしている文脈はそっちのけで、一言半句をとりあげているだけ。
国民から真実を遠ざけようとしているのです。
 私が陸軍に入ったのは、2001年の9・11同時多発テロが起きたあとの03年、
純粋な愛国心からでした。
 しかし、米国民が選出した大統領がずっとウソをついていたことがわかってきた。
イラクには大量破壊兵器はない。
9・11事件とフセイン(元イラク大統領)は何の関係もない。
イラク戦は、巧妙で計画的なごまかしで固められた不正義の戦争でした。
 それを知って、裏切られたと思いました。軍服を着ている自分が恥ずかしい、
自分自身が引き裂かれた気分でした。しかもその欺まんは、ますます拡大しています。
ここで沈黙していれば権力者のウソを追認してしまう。
これでは自分も犯罪に加担することになると思いました。
 しかも私は将校であり、兵士に説明する立場にあるのです。
これがテロとのたたかいなどではなく、イラク解放のためでもなく、
イラク国内の分裂と内戦をひどくするだけと知っていながら、
自分の兵士にどうして出撃を命令できるでしょうか。
    ◇ ◇
 真実のため今「抵抗」の時
 いま私は、旧ドイツ軍内のヒトラーヘの抵抗運動の本を読んでいます。
その動きは非常に小さくて圧殺されたけれども、困難な中で人間は真実のために
立ち上がることができるのだと勇気を与えられています。
 軍は巨大なシステムです。それに挑む私は、ゴリアテ(旧約聖書に出てくる巨人兵士)を前にしたダビデのようなものです。
人生のなかで、必ずや「抵抗」しなければならない時があるでしょう。
自分にとって今がその時だと思っています。
 歴史を見れば、常に人は勇気を持って立ち上がってきました。
現在の米国では、国連憲章や国際法、そして自国の憲法さえ無視した大統領が
うそで固めた戦争をしており、議会も他のチェック機関も、自分の仕事をしていない。
だとすれば、立ち上がるのは私たちしかいないでしょう。
私たちの沈黙と無視は、権力の欺まんをはびこらせることになります。
    ◇ ◇
 私がどんなに取るに足らない存在であろうが、勝つ見込みはなかろうが、
だからといって声を上げない言い訳にはなりません。
真実は、見ようと思えばそこにあります。
権力の作り出した都合のいい「脅威」に惑わされずに、
理性を働かせてものごとを見ることが求められています。
 自由と民主主義の国であれば、人々は疑問を持たずに従うだけではすまない、
疑問を持ち自分の意見を持つことが期待されているのです。
 私の発言で少しは変化を起こすことができたというのは、私にとってすでに勝利なのです。

 《参考》  『アメリカ帰還兵IVAW イラクに誓う』広島上映会
   アメリカ帰還兵IVAW イラクに誓う


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